「この5人でバンドをやれているというその事実そのものが大事」
柳山ユウト(Ba.)

そうした一方、ユウトさんについてはライブの前に「僕はノールールで行きますよ。ベーシストっていうと、どっしり構えてみたいなイメージがあるのかもしれないですけど、そんなの関係なしで感情のままにやっちゃいます!」と某インタビューにて宣言されておりましたが、確かにあのステージ上での立ち居振る舞いは自由でワイルドでしたね。

ユウト:もちろん、自由な中でもバンド全体としての皆のグルーヴは大事にしたつもりなんですけど、個人的にはもっと攻めても良かったのかなという気持ちもあります(笑)。

プレイの面からみると、ユウトさんは5弦ベースでの指弾きというスタイルで極東ロマンスの音をドライブさせていらした印象が強くありました。あのスタイルは、このバンドにとてもハマりますね。

ユウト:ほんとですか? ありがとうございます(笑)。実を言うと、僕も5弦は極東ロマンスに入ってから使い始めるようになったんですよ。経験値としてはまだちょっと浅いので、ここからどんどん重ねていきたいなと思ってます。

Shindy:ユウトが今のプレイスタイルになったのは、テッちゃん(Tetsufumi)とのコンビネーションを踏まえてのことだったんですよ。テッちゃんは足を凄く速く動かせるドラマーなので、それを最大限に活かすにはアタック感を出してチューニングの面でも少し上に上げたいという話が出て、それだと普通に4弦でベースを弾いてしまうと音域的に当たってしまうことが懸念されたんですね。

お互いにぶつかりあって、打ち消し合ってしまうことを避ける意味で5弦を使うことにされたと。

Shindy:そういうことになります。ユウトには、5弦を使うことでさらに下に回ってもらったんです。そうすると、バンド全体の音としても迫力が出るんですよね。

今回のライブでの1曲目で「Black Rain」の音が放たれた瞬間に感じた「なんだこの音圧の凄さは!」というあの感覚は、そのような経緯で生み出されていった迫力だったのですね。

Shindy:あのドーン!っていう感覚は、まさにそれだったんだと思いますよ。これは僕らの目論見が上手くいった、っていうことですかね(笑)。

Tetsufumiさんご本人からすると、ドラマーとしてバンドの音の根底を支えながら迫力を出していくということのほかにも、極東ロマンスの一員として重視されていることは何かありますか。

Tetsufumi:ライブを実際にやってみるまでは、それこそバンドの音の根底をドラマーとしてガッチリと下支えしなければという意識があったんですけど、あの1stライブをやってみて感じたのは「僕もまだもっと行けたな。皆と一緒になってワチャワチャしても大丈夫だな」ということだったので(笑)、今後はもっとそっちの方にシフトしていくことになるんじゃないかと思ってます。完全にひとつのカタマリになったバンドサウンドを、目指していきたいですね。

Tetsufumi(Dr.)

では、そうした各楽器陣が轟音を放っている中でフロントに立ち歌っているShindyさんの立場からすると、極東ロマンスの中で歌っていくことの醍醐味というのは、主にどんなところにあるものですか。

Shindy:まずはとにかく、この5人でバンドをやれているというその事実そのものが僕にとっては大事なことだし、この5人でやっているからこその醍醐味というものを僕は感じてますね。振り返ると、極東ロマンスを始動させるまでの間には僕が単身で動いていた時期もあったし、あれこれと「誰々とやってみないか」とか「誰々のところに入ってみないか」みたいな話もあったりはしたものの、どれも想像ができちゃったんですよ。大体こんな感じになるんだろうな、って。でも、この5人でバンドを始めるとなった段階では良い意味でどんなことが起きていくのか想像ができなかったし、まさか1stライブがあんなに熱いライブになるなんていうことも、全く予想ができていなかったんですね。なんていうか、このバンドじゃなかったら僕はもうちょっと上手にキレイに歌おうとしていた気がするんですけど、あのステージで歌っていると後ろから4人の発している音と気配にどんどん背中を押されるんですよ。

楽器陣が、ボーカリストを煽ってくるわけですね(笑)。

Shindy:そうそう。だからもう、僕もあの日は完全にイっちゃいましたもん(笑)。その感覚が最高に気持ちよかったし、このバンドをやっていくことの醍醐味は5人の発しているものが混じりあったときの化学反応の面白さ、っていうところにあるんじゃないかと感じてます。決まった枠とか、ちいさなことには何にもとらわれず5人で思いっきり音を出せる、とことんハジけてライブをやれるっていうのも間違いなく醍醐味ですね。

では、ここからは少し角度を変えた質問もさせていただきたいと思います。先日の1stライブは大成功と言えましたけれど、一方で現時点での皆さんが今後の課題として感じていらっしゃることがあるようでしたら、それについてもぜひ教えてください。

ユウト:この間のライブをやった感覚からいくと、曲が進むにつれてどんどん楽しくなってくると、テンションが上がるあまりについメンバーの顔をみてアイコンタクトをとったりする機会が増えてしまうんですね。それ自体はいいことなんですけど、自分が楽しいっていう気持ちでいっぱいになっていると、来てくれたお客さんたちのことまで意識が回りにくいという現象も起きやすくなるので(苦笑)、今後は自分が楽しむだけじゃなく、もうちょっとステージからファンの皆さんに対しての発信というものを積極的にやっていきたいなと思ってます。

これは余談になるものの、先日のライブではMCにてShindyさんがユウトさんのことを「こんな不愛想に見えて実はそんなことない」という旨の発言される場面がありました。そのあたりも、今後のライブでは多々垣間見られていくことになりそうですね。

ユウト:昔から、黙ってると「怖そう」とか「とっつきにくい」っていうのは良く言わるんですよねぇ(笑)。まぁ、本当のところはここから皆にも徐々に知っていってもらえたら嬉しいです。

(4/5)