ステージに出て来ただけで、
観ている側が感極まってしまう
くらいの感動を与えたい
僕らは"極東ロマンス系"というものを
ここから自分たち自身で
作っていかなきゃならない

「僕らにとっての理想的な1stライブになった」
Shindy(Vo.)

デビューアルバム『0 -ZERO-』が7月24日に発売となり、8月1日にFC限定での初ライブを行った極東ロマンスですが、まずはあの日に感じた手応えが皆さんにとってどのようなものだったのか、ということを教えてください。

Shindy:まさに、あれは僕らにとっての理想的な1stライブになったと思います。最初だからといって試運転的なものだったり、デモンストレーションなノリでやるものには絶対したくなかったんですよ。そのためにも、あの日に至るまでには皆で時間をかけながらやるべきことは全て準備もしていましたしね。ただ、それだけにもしあのライブできちんとした手応えが得られなかったとしたら、それは極東ロマンスにとって重大な問題になっていた可能性があったとも言えます。場合によっては、「このバンドをここから続けていく必要が果たしてあるのか」というところまで、考えざるを得なかったかもしれないです。

いきなりのシビアなお話にはなってしまいますが、つまるところあの1stライブは極東ロマンスの今後を占うものであった、ということなのですね?

Shindy:はい、そういうことです。結果的に僕としては物凄い手応えを感じられたので「これはイケるな」と確信ができたし、あの場に来てくれていたファンの皆にも、きっとその感覚はしっかりと伝わったんじゃないかと思います。

Yo-1:あのライブに向けてはかなりリハーサルを重ねていきしまたけど、やっぱりスタジオの中ではわからないこともいろいろあって。実際にやってみたら思っていた以上に極東ロマンスというバンドに対してのポテンシャルを自分たち自身で感じることができたのが本当に良かったです。自分たちがカッコ良いと信じてこの5人で準備してきたことが、実際にお客さんたちにも響いていたからこそコール&レスポンスだったり、あの盛り上がり方にも反映されていたんじゃないかなと感じますしね。純粋に、やっていて楽しかったです。とても充実した時間を過ごすことができました。

琢磨:本番のライブでどこまでの最大値が得られるのか、ということをリハをやっていた段階から楽しみにしていたんですけど、現実にはこの間やった感じだと最大値が見えなかったんですね。アンコールの最後の方になってやっと、なんとなく見えてきたかなという兆しはあったものの、まだこんなもんではすまないくらいの先があるんだなという予感が得られたので、そのことが最初のライブでわかって良かったです。

なるほど。良い意味での未知数を感じられたわけですね。ちなみに、もともとShindyさん、Yo-1さん、琢磨さんのお三方はAnli Pollicinoで一緒に活動をされていた経緯もありますが、極東ロマンスが始動してからあらたにリズム隊を組むことになったユウトさんとTetsufumiさんのお二人からしてみると、今回の初ライブで得た実感とはいかなるものだったのでしょうか。

柳山ユウト:正直、初めてのライブであそこまでのことができるのか!と僕は感じましたね。自分自身も素直な気持ちでぶつかっていけましたし、バンドとしての一体感もステージで感じることができたし、何よりこの5人で一緒にやっているのが心底楽しいなと思えたので、最初でコレだったらここから加算していくたびにもっと凄いことになっていくんだろうな、という未来も見えました。だからもう、今はとにかくどんどんライブをやっていきたいなという気持ちが湧いてきています。

Tetsufumi:スタジオでリハをやっていた頃の感触からして、良いライブになっていくに違いないとは思っていたんですけど、僕も今回のライブではバンドの状態はもちろんですし、会場全体のノリも含めて想像以上の感触があったので、ここから先に対しての大きな期待も生まれたライブになったなと感じました。次にやる時には、もっと良いかたちになっているはずです。

この極東ロマンスが始動した際に、とある媒体でさせていただいた初インタビューにてShindyさんは「多分、皆が予想しているよりも僕らは荒々しいライブをやっていくことになると思います。ほんと、勢いが凄くて暴れ馬みたいな感じですよ。良い意味で、CDとかなり違うんじゃないかな」とおっしゃられていましたけれど。今回の初ライブは、そのままあの言葉通りの内容となっていましたよね。いきなり1曲目の「Black Rain」の音が放たれた瞬間から、「なんだこの音圧の凄さは!」と気圧されると同時に、「このバンドは見た目やイメージ以上に相当ヤンチャな音を出すロックバンドなのだな」ということも強く感じさせられました。

Yo-1:あははは(笑)。その感想は僕らとしてもかなり嬉しいですねぇ(笑)。

なお、これはAnli Pollicino時代との比較になりますが、今回のライブで最も驚かされたのは琢磨さんのパフォーマンスぶりだったかもしれません。率直にいうと、「この人の本性とはこんなにもアグレッシヴだったのか!」と新しい一面をみた思いがします。

琢磨:本来的には、ああいう感じなんでしょうね(笑)。多分、前はカッコつけようとして殻みたいなものをかぶっていたところが大きかったのもある気はします。

そもそも、使っている楽器からして以前とは全く違うタイプのものでしたものね。もしや、あれは極東ロマンスを始めるのにあたって新しく用意したものなのでしょうか。

琢磨:そうなんです、このバンドの為に作りました。最初に試し的な感じでこの5人でスタジオに入った時に、どんなギターの音が良いだろう?っていうことを皆で考えて。そこで出たアイディアをまとめた結果、ああいうアーム付きのギターを使うことにしたので、あれは新しくお願いして作ってもらった“極東ロマンスモデル”になります(笑)。

琢磨(G.)

ただ、新作にしては随分と使い込まれた風情のあるギターでもありますよね。

琢磨:そういう風に見えるレリック加工(意図的に経年変化したように見せる加工)をしてもらっているんです。

そういうことでしたか(笑)。それから、あのステージを観させていただいた印象としましては、Yo-1さんの担っていらっしゃる役割や雰囲気も、これまた極東ロマンスならではのソリッドでシャープなものになっているな、と感じられた気がします。

Yo-1:この5人の中でギターを弾くっていうその新しいバランス感覚を、あのライブでは自分でもより実感ができましたね。とにかくまだ始まったばかりなので、ここからはもっと柔軟に対応しながらより極東ロマンスの魅力を発揮できるようなかたちで、自分にできることをいろいろとやっていきたいです。

そういえば、今回のMCでShindyさんが「リズムギタリスト・Yo-1、リードギター・琢磨」という風にメンバー紹介をしていらっしゃいました。そういう意味では、ギタリストのお二人のスタンスがさらに明確化されたようにも感じられますね。

Shindy:あれはその場で自然と出て来た言葉で、別にリハでも何をどうしゃべるかなんて全然決めてなかったんですよ。気が付いたら、そう言ってましたね(笑)。

Yo-1:まぁ、もともと曲のアレンジをしていく段階で役割分担が決まっていたっていうのはあると思います。そこは5人の中で、共通認識がちゃんとあったからなんでしょうね。

Shindy:Yo-1くんは、ひとりだけチューニングも違うんですよ。6弦ギターに7弦ギターの2弦から7弦を張って7弦チューニングで弾いているんです。そのくらいのこだわりを持ってリズムギターを弾いてくれているので、上手とか下手とかじゃなくて敢えてパート名も入れて紹介したかったんです。

(3/5)