ひらりさん 東京と大阪で設けられた全4回の公演中、今夜だけは「ALL THE HITS」と銘打たれた追加公演。全米チャートを席巻した大ヒット曲ばかりを披露する特別なセットリストが事前に予告されていることに加え、私の座席はステージから3列目。盛り上がりは既に約束されています。 場内が暗転するとお馴染みの鼓動音が響いて場内は凄まじい大歓声に。そう、会場を埋めた観衆のほとんどが、その情報のみでオープニングの曲が何であるか理解したのです。小気味よい "The Heart Of Rock & Roll" のリズムで当然のように1階から3階までが総立ちとなり、待ちに待ったロックン・ロール・ショーの幕開けです。開演前、曲名を見てメロディが浮かばないものもいくつかあったのですが、実際に演奏を耳にすると「ああ、そうだった」と。レコードの溝が擦り減るほど聴き込んだ曲たちが目の前で次々と披露され、同時に様々な記憶も鮮明に甦ってきます。それもその筈、ヒューイの声はリリース当時を彷彿とさせるハスキーかつパワフルなそれであり、バンドが奏でる音も疾走感を湛えた現役バリバリのものだったのですから。 全てのメンバーが「'80年代の音」を随所で聴かせ、シャープで伸びのあるステフのギターはエフェクターを用いてブレンドする音の歪みまでもが気持ちいい。ホーン・セクションは渋さを抑えたノリ重視の音を鳴らして客席をこれでもかと煽ってくるし、バンドの古参にあたるジョニー・コーラは相変わらずの芸達者で、ギターとサックスを頻繁にチェンジして各曲の空気をしっかりと作り上げる。そしてこれまた外せないヒューイのハーモニカが、跳ね回るような音で私の気持ちを何度も昂らせてくれました。 さらに今夜は一緒に歌える曲が多いこと。ヒューイが煽るシンガロングが絶妙なタイミングで繰り出されるものだから、つい歌わずにはいられないし、その歌詞を完璧に覚えている自分にもちょっとビックリしましたね。 4年前にも彼らの来日公演を堪能していたことが、発売後すぐのチケット購入をためらわせた一因だったのですが、心底楽しんでいる自分を見るまでもなく、その判断が大きな誤りだったと彼らの1時間30分のパフォーマンスは教えてくれました。今を生きることを少しだけ休んで若き日に戻る時間は、どうやら私にとって欠かせないもののようです。 いいね! 3 コメント 0 2020/10/25 (日) 01:30