失礼ながらアヴリルのライブには「音質よりノリ重視の構成」、「嬌声で埋め尽くされる客席」といったネガティブな先入観を持って参戦した次第なのですが、これは良い意味で完全に覆された格好に。 まず舞台演出が極めてシンプル。大掛かりなセットは何一つ無く、照明装置もオーソドックス。バンドセットのみが鎮座する様は、音のみで勝負しようという潔さがうかがい知れて良し。アーティストのみを映し続けた鮮明な画像の大型スクリーンや、調和がとれていると感じた音響など、後方席への配慮も抜かりが無かった。 和太鼓三重奏からイントロへ繋いだ"What The Hell"、MCや曲中に散りばめる日本語や「Japa～n」との煽りなど、日本公演を意識した「ならでは」の趣向も十分に楽しめたのですが、やはり歌と楽器隊の良さが際立っていて、しっかりと「聴ける」ステージに仕上がっていたことが何より。私的には、中盤から後半へかけてのミディアムスローな曲を続けたあたりがハイライトでした。

今回の日本公演は新作を携えたワールドツアーの出発地ということもあり、演奏曲は多くの新曲と過去の代表曲という構成。音のみで勝負するスタイルは前回の来日公演と同様、且つ照明やスクリーン映像などの演出もシンプルで、私好みのライブを堪能できました。体にズシンと響く低音や、鮮やかなストリングスの残響など、会場の優れた音響設備にも感心したのですが、ライブの要であるアヴリルの歌は、一声を発するだけですべての聴衆を終始総立ちにし、彼女の小さな体との対比もあって、存在感の大きさが更に際立っておりました。もはや風格すら漂わせていたのはサスガだよなあ。 オープニングを飾った和太鼓三重奏とは2年ぶりの再共演で、アヴリルは彼らのパフォーマンスがとてもお気に入りみたい。たしか、テレビ番組の企画で彼らの生演奏を体験した彼女が、その場で直接交渉して前回の来日公演での共演に至ったんだけど、１度きりで終わらせない義理堅さも、なんともカッコイイですね。