2018年、唐突に届けられたJOY-POPSツアーの報せ。チケットはすべてソールドアウト(東京追加公演も即完、チケットはプレミア化)
こんな事態を誰が予測しただろう。
ハリーも蘭丸も解散後それぞれ旺盛な活動を行なって来た。それは知っている。
だけど、ストリートスライダーズという奇跡のようなバンドにやられたファンは、みんな今の2人の活動を認めつつも、やはり「あの瞬間」が忘れられないということなのだろう。
バンドが偉大であればあるほど、ミュージシャン自身も、その後のソロ活動でその幻影との格闘を強いられる(ビートルズしかり、ツェッペリンしかり)。
僕は正直言って夢遊病(1985年)を最後に2人のその後の活動はそんなに熱心に追っかけてはいない。
時間どおりステージに現れた2人はほぼあの頃のままだった。あれ?ハリーってこんなに気さくな人だったっけ?とはちょっと思ったけど。
蘭丸がカメレオンのイントロを弾く。ハリーのテレキャスが応える。
この2人が同じステージにいる。そう思ったら絶叫した。そして涙が出た。雨でごまかせたのでよかった。一緒に見ていた17歳の息子にはバレなかったと思う。
ライジングサンのステージの中ではこぢんまりとしたステージ。これを生で見られた自分は幸せだと思う。
ハリーと蘭丸がどこへ向かうのかは知らない。自分がどこへ向かうのかも知らない。
だけど僕も含め、その場に居合わせた観客は、時空を超えて、長い旅を終えて、確かにそこで同じ時間を共有した。
歳をとるのも悪くない。
セットリストはネットで拾ってほしい。
この手の再結成では懐メロ大会になりがちだが、ハリーと蘭丸はそれぞれ新曲を披露した。
「新曲やります」と蘭丸が紹介した後、観客は明らかに「(せっかくふたりがいるのだから)スライダーズの曲が聴きたい」というモードで。オー〜〜…!みたいな雰囲気。
その雰囲気を感じ取った蘭丸はそこですかさず一発。
「あれ??ここ、盛り上がるトコなんだけど?」
ハリーと蘭丸は前しか見てない。
後ろを見てるのは、あろうことか、観客だ。そして僕だ。