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札幌に新しく誕生した大ホールで、どんな歌声を奏でて還暦イヤーを語ってくれるかと出かけてみた。 全くの玉置浩二ビギナーながら、オープニング曲になにやら期待を寄せて聞いていたが、 それから続く曲はどれも照明を落としたスローバラードの羅列で、いい加減退屈を通り越して眠たくなってきた。 それにしても語りが一切ない、意地でも語りは入れないという姿勢が見て取れる。 そのうち観客席は拍手もとまどいぎみでまばらになってくる。 コンサートは2部構成で休憩をはさんで、 ステージはなにやらクラブシーンを再現したかのようなバンドセットと照明になった。 ようやく聞き馴染んだヒット曲も散りばめられながら、DJはしきりに音を掻き鳴らしたりしている。 主役はステージで軽快にステップを踏みながら次から次へと歌い続けて、観客のボルテージも熱っぽくなってゆく。 そしてギターを抱えて田園♪ とやかく言いたいことはたくさんあるが、これを聞けただけで満足だった。 最後はバンドメンバーを送りだして、主役はひとり残って歌いあげて、これがアンコールになった。 結局のところステージ最初から最後まで、主役は歌声だけで語る言葉は一切なく、 何とも言えない幕切れに、観客席には秋風が吹いていた。 還暦を迎えて、沈黙は金なり!の境地を極めたのかどうなのか、 正味1時間30分、シニア世代にたまらない、玉置浩二のコンサートだった。

古稀アニバーサリーで真駒内アイスアリーナと云うことで、ジュリーのやる気満載を期待して出かけてみた。 初ジュリーながら会場に着いてみたら、なにやら奇妙で寂しい光景が広がっていて、ライブが始まった途端に愕然としてしまった。 ステージには暗幕がひとつ寂しく垂れ下っているだけで、なにやら光るピエロのような衣装を着てジュリーが登場するが、 その横ではギタリストひとりが黙々と伴奏しているだけで、「今日はこの二人で最後までやってゆきます~!」。 次から次へと知らない曲ばかりが登場し、その後に出てくる言葉は「ありがとう、サンキュー、ありがとうね~」のセリフばかり。 まるで滑稽な道化師そのものを演じているではないか!きっとなにか曰く因縁があるんだろうか? アンコールへの合間、ジャケットに着替えたジュリーが思いの丈を語り、饒舌に語りまくって、最後に謎解きをしてくれた。 今回のコンサートは構想12年かけて実現できたもので、ギタリストと二人で”やんちゃな音”を追求してみようと思っていたが、 その後開催した還暦コンサートでヒット曲中心に歌ったら、声も終盤に行くほど伸びるし、マスコミの評判もたいへん良く、 人気も想定外にぶり返してしまって、この演奏スタイルを実現するタイミングをずっと逸してきてしまったと云う。 そこで「古稀になって好きなことやらなくてどうする!?音楽人生の締めくくり、まだまだ伸びしろはあるはずー!」 なるほど、ツアータイトル~70 YEARS LIVE「OLD GUYS ROCK」~の真髄を知った瞬間だった。 されど今回のスタイルは都会のライブハウスでやるべきもの、いくらなんでもやっちまったなぁーと云う感じのコンサートだった。

全国5ヵ所5公演だけに絞ったアニバーサリーツアー1本目。 ロックンロールスーパースター矢沢永吉でもツアー初日はあがると笑顔で語っていた。 「ふわ~~とする感じ、これも前にどこかで喋ったけれど、本番30分前、楽屋で予定通り来ましたぁ!」 ロックな69歳、その締めくくりなのか郷愁がそうさせるのか、数々のエピソードを披露してくれた。 ♪サムバディズナイトから♪ラストシーンへと短いメドレーを歌い終わった時、 ロンドン録音で味わったほろ苦い場面を思い出し、ホテルの部屋でこんなメロディが出来たんだよね~とぽつり。 それでは懐かしいナンバーをいっちょ!と言いながら、 ♪雨のハイウェイをひとりアコースティックギターを抱えながら慈しみながら。 ♪アイラブユー、OKは18歳の時に作ってオレ天才だと思ったけど、 レコード会社をいくつか回ってそっけなく断られ、東京タワー見ながら、くそー!と思ったよ。 そして去年のライブで自らの音楽人生を振り返りながらしみじみと唄った♪風の中のおまえを再びリフレインする。 静かなラスト曲で締めくくって、アンコールは4曲たたみかけてきた。 ♪止まらないHa~Haのイントロが流れ出した時、ステージ横に台車付きゴンドラが登場。 初めて目にする演出だろうか、アリーナ席の外周をぐるり一周しながら、タオルも飛んでゆく。 なにしろ1階スタンド席2列目にいたものだから、永ちゃんが1メートル手前を横切って行ったのだ。 どよめきと大歓声が会場を包み込み、♪トラベリンバス。 トラバステープが夏の花火のように打ち上がって、札幌の夏も終わった。

オープニング、スポットライトが当たり、いきなり鈴木雅之が登場する。 札幌のシークレットゲストは想定外だったのか、会場は一気にざわめく。 すかさず若大将、加山雄三が客席から「お嫁においで」を歌いながら登場するものだから、 会場の熱気はざわめきから興奮に変わり、脈打つように広がってゆく。 若大将、マイクを握りながら、「4回目の成人式という感じかな」。 そしてエレキギターを抱えながら、「蒼い星くず」などをガンガン飛ばしてゆく。 ゲスト鈴木雅之も加わって、「ランナウェイ」をふたりで熱唱するサービスまで。 1部のラストは「座・ロンリーハーツ親父バンド」、客席は待ってました!とばかりに総立ちで盛り上がる。 2部は「夜空を仰いで」をしっくり歌い上げて始まった。 ステージのバックには若大将時代に海外を旅した古いフィルムや自作の油絵や水彩画などが映し出されてゆく。 声量も全く衰えを感じさせず、語り口も絶好調そのもの。 しみじみ語ってくれた。「人生の3カン王を目指しています....関心・感動・感謝が大事ですよ」。 ラストは「君といつまでも」。若大将ー!の声援も飛んで、セリフの部分では黄色い悲鳴もあがった。 アンコールは鈴木雅之も加わって、「旅人よ」を会場全体で合唱。 更に「夜空の星」、もう一度エレキギターを抱え、謳いあげて締めくくった。 後期高齢者も大挙詰めかけていたコンサートなのに、このノリは一体どこから来たのか。 恐るべしかな、ニッポンのシニアパワーを実感する夜だった。