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蒼い彗星、宇宙を駆ける ~空野青空卒業公演~

2024/01/13 (土) 16:30 開演 @富山MAIRO (富山県)

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Fさんのレビュー

2024年1月13日は、富山MAIROにて「蒼い彗星、宇宙を駆ける 〜空野青空卒業公演〜」富山公演があり、当日をもって空野さんが兼任を終了する節目となります。MAIROの位置する駅前周辺は先の能登半島地震による被害が比較的少なく、数日前にほくりくアイドル部さんが公演を開催なさったことで会場を問題なく使用できている状況となります。
空野さんが出演される日は晴れることが多いのですが、当日は何と雪。奇遇なことに、秋葉原でも初雪を観測しています。そのおかげで、雪景色の富山市を観光する機会にも恵まれたことになります。比較的軽度な被害であったとは言え余震が続くこともあって、開演前アナウンスではその備えに関する諸注意も流れています。
本公演はソールドアウトしており、公式チケットトレードが開設されてもなお需要過多の状況ではありました。一方でかかる震災直後の開催であることを踏まえてか、当初の予定になかったライブ配信が導入され、売上げの一部を被災者への寄付に充てることが決定しています。より多くの方がご覧になる機会を得ると共に、地元への貢献を図ることもできる粋な施策と理解しています。
開場は定刻どおりで、川崎公演と同様に舞台には目立った設備がなくシンプルに構成されています。急遽決まったオンラインライブ配信であったことも影響し、通信環境の設定に時間を要したことから開演が30分ほど遅延する一幕がありました。とは言えそのおかげで、これまた予定になかった前説が組まれることとなり、そっくりさん(という体裁)の紺セーラー8人組による漫談およびモノマネショーを楽しむことができました。珍しいことに空野さんが当初から緊張していると、メンバーから指摘されています。10年余りの活動を通じて「卒業ライブ」が実は初めてであることを考えると、それももっともではあります。
ようやく設定完了の報を受け、一旦退場。開場DJが再開して、プリンセスでんぱパワー!シャインオン!音源がフェードインするのが開演の合図となり、リズムに併せたクラップでボルテージを高めてゆきます。overtureとともに改めて8人組がステージに登場し、スタート。
当初のMCにおける自己紹介では、それぞれが改めて愛を語ると共に、本公演のセトリは空野さんを感じるものであると紹介されます。ご本人によると、アフターパーティーのノリでカオスをお届けするべく考案なさったとも伺いました。ワンマンライブの場合、各自の自己紹介を受けて「以上この8名とここに居るみんなで」でんぱ組.incであるとの締めの挨拶があります。この人数による言い回しも、必然的にこれがラストとなります。
カオスと称されるセットリストだけあって、序盤からご本人お気に入り曲がならび、さらに中盤では3組のフォーメーションという名のカップリングによる公式カバーを含むおでんぱナンバーとともに、単独戦闘型時代を象徴する楽曲「キラキラアオゾラ」をソロで披露なさいます。MAIROでソロ歌唱自体も久しぶりではありますが、今回の場合仲間を引き連れた上でのパフォーマンスであることを考えると貴重な機会です。サビの辺りでサイリウムを手にしたメンバーが合流してみんなで振りをそろえるコラボも実現しています。リウムの扱いに慣れていないのか、光らせるのに一苦労する微笑ましい一幕も。初のシングル表題曲でもあった本作がリリースされたとき、まさかこの世界線に至るとは想像もしなかったところです。公式カバーの中には、らき☆すたで有名なもってけ! セーラーふくが含まれます。2011年にリリースされたそうで、よく掘り出したものと感心させられます。
後半のMCでは更に面白い展開が繰り広げられます。リーダーを司会として卒業式の開会が宣言されると、仮面をつけたスタッフさん方が来賓としてステージへご登場になると、卒業生1名・在校生7名による卒業式が始まります。発言そのものを文字に起こすといたって真面目な進行であり送辞・答辞であったのですが、間の取り方が絶妙なためにまるでコントのような展開となり、笑いに包まれる愉快な式となりました。
閉会の辞に続いて、校歌ならぬオレンジリウム斉唱。ウルトラオレンジの茜色が会場を包み込むと、いままでなかった出来事が起こります。現行の歌割は相沢さんが歌いだすもので今回もそうなっていますが、1フレーズ目を歌いきったところで嗚咽に変わってしまいます。それまでは前述の司会進行を含めて冷静で気丈に振舞うお姿だったのですが、堪えきれなくなった様子を受けて、フロア側から合唱で間を埋める展開となります。ステージとフロアで文字通りライブを創りあげたこととなります。2番歌いだしは古川さん。こちらも泣き崩れて歌詞の代わりに精一杯の感謝の言葉が紡がれます。これはこれで尊い景色であり、複数の識者によると、いままでなかった展開だそうです。
ラストの「でんでんぱっしょん」では、すっかり持ち直してキッチリ締めくくります。アンコールに応えての2曲は、現体制となる際に初披露となった曲を含む2曲であり、始まりの歌をラストの場に持ってくることで円環構造が完成する気すらします。
最後の最後は、大団円を飾るに相応しい「千秋万歳!電波一座! 」。こちらも現体制初期にリリースされ、大人数でのフォーメーションを練り上げる光景をFCイベントとして公開していた経緯のある作品となります。このサビ部分で渾身の演出が発動します。フロアを指差してダイブしていいですかと質問の形をとった宣言がくだされると、黄色い巨大ゴムボート「あひる号」が登場。なぜかサングラスをつけているそれに颯爽と乗り込むと、メンバー・スタッフが持ち上げてスカイブルーの光に包まれたフロアへ送り出します。光の色を水と考えると進水式とも取れますし、「号」呼称は古来航空機に与えられることを考えると初フライトとも取れます。どちらにしましても、ラストを飾るのに戦士のもとへ飛び込む選択肢を思いつき、大人を巻き込んで実行に移す行動力は素晴らしい。後日談として、このリハーサルが一番手間がかかったとも伺いました。
集合写真を撮って、今度こそ本当に閉会となります。今回は兼任を解消するだけであり、表現者としての活動は続きます。とは申せ、おでんぱならではの雰囲気であったりフォーメーションであったりは本日をもって一旦終了となりますので、寂しさがないと言うと嘘になります。一方で前述の卒業式の中で、OGを含めたラインGの設定を公に要請し応諾を得ていることから、これからも何かを仕掛けてくることが充分に考えられるので実は楽しみです。

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  • 2024/01/18 (木) 07:18

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