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ひらりさんのレビュー
朝の荒天が嘘だったかのように綺麗な夕焼けが見られた台風一過、武道館でかねてよりの念願だったベックのライブです。オープニング・アクトも超一流がブッキングされ、"Cornelius" による練り上げられた構成の音楽と映像が贅沢なおもてなしのように、武道館の空気を最高のライブ会場のものへと染めていきました。
そしてベック。新旧の曲をバランスよく配置したセットリストは、淡く美しいアコースティック・ナンバーが体を揺らしたかと思えば、歪んだギターリフに一瞬で思考をトリップさせられる。煌きに満ちたポップ・サウンドは気分の高揚を頂まで押し上げてくれ、作品ごとに斬新な音を発表する彼らしい変幻自在の内容にすっかり大満足。まず1曲目のプレイからいきなり大好きな "Davils Haircut" なんですから。この幕開けから私の興奮は沸点をはるかに超えており、加えて舞台中央前の最前列を陣取った今夜は視界のストレスもまったくありません。新作『Colors』の3曲から "Looser"、"E-Pro" とつないだ本編終盤なんて、もう神がかっているとしか。すべての観客を巻き込んだ "Looser" のシンガロングは最高に気持ちヨカッタです。
8年前の単独来日公演は仕事の都合で行けず、当時は無理にでも予定を調整しなかったことを心底後悔したのですが、ようやく鬱積した負の記憶を払拭することができました。そして、次回以降の公演も間違いなく足を運ぶことになるのでしょう。そう思わずにはいられない本当に素晴らしいライブでした。
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- 2020/10/25 (日) 01:16
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