エンターテイメントは夢を与えるものだから、できるだけ現実は見せないほうがいいという考えもありますが、天才凡人は完全歩合制であることや、「WAY WAY」のMVが超低予算であることなど、舞台裏とも言える現実を、むしろ積極的に見せようとしていて、そこも魅力の1つになっていますね。
MiNE:裏の部分もエンタメにしていきたいんですよ。低予算みたいなことも逆手に取ってやっていこうっていうのは昔からありましたね。衣装を買う予算がなかったから、自前のTシャツに自分らで告知を書いて、“チラシを作る予算もない”と言ったりしたこともありましたね。
SHIMADA:身の丈に合ってないことをしたほうがスベるんですよ。
MiNE:だから、全部がかっこ良すぎても。もちろん、かっこ良くありたい部分もあるんで、要所要所、いい感じに入れていきつつですけど。
SHIMADA:僕らがフェラーリに乗って、ドライブしているようなMV、想像できないじゃないですか?(笑)
MiNE:いい女をはべらかしながらみたいなやつね。昔やりたいと思ってましたけど(笑)、僕らのキャラだったら、全員、おばはんのほうがおもろいなとか考えちゃいますね。違いすぎることをやるよりも、ぽいことをやったほうがいいと思います。
そういう姿を見せながら、懸命に取り組んでいるところにファンは感動するんでしょうね。
MiNE:そうだったらうれしいですね。
『二枚目』をリリースする時には、ヒット祈願の滝行もやっていましたが。
MiNE:体を張ってるんですよ。年齢いってるんですけどね(笑)。でも、体を張って、人を笑顔にする芸人さんってかっこいいじゃないですか。それか根っからドMなのかもしれない(笑)。
SHIMADA:ああ~(笑)。
MiNE:スカイダイビングもやりましたね。ただHyonnは、そういうの一番イヤがるんですよ。
Hyonn:僕は体張りたくないですから。でも、やらすんですよ。だから僕もちゃんとやるんですよ。偉くないですか?(笑)
MiNE:お客さんがちょっとでも楽しいと思ってくれるなら、何でもやろうと思いますけどね。
お客さんを楽しませるという意味では、やっぱりライブというところはあると思うのですが、10月6日に渋谷WWW Xで、『天才凡人 大感謝祭2019』と題して、結成8周年記念のワンマンライブを開催することが決まっています。
MiNE:毎年、お誕生日会的な感じでやってます。
「大感謝祭」と謳っていますが、どういう趣旨のライブなのか改めて教えてもらってもいいですか?
MiNE:もちろん、ファンのみなさんが祝ってくれるんですけど、昔、何かで読んだんですよ。誕生日っていうのは、周りの人に感謝する日だって。それで、いつも応援してくれることに対して、みんなに楽しんでもらえるようなことを自分たちがやろう、ありがとうを伝えようって始めたんです。だから、カバー曲のリクエストを、それぞれに受け付けたりして、いつものワンマンよりも喜んでもらえるようなイベントとして、今年もやらせていただきます。今年は8周年記念のオリジナルソングも無料で配ります。とにかく、ありがとうを詰め込んだイベントにしたいと思っています。
曲はもう作ったんですか?
SHIMADA:今、絶賛制作中です。大感謝祭を象徴するような曲にはしたいですね。遊びに来てくれた人たちがその日を思い出したとき、その曲を歌っているシーンが一番に来るぐらいの曲にはしたいです。
もちろん、普段のライブでも、ありがとうという気持ちは伝えていると思うのですが、天才凡人がライブをする上で大事にしているのは、どんなことでしょうか?
MiNE:“あっという間だった”と思ってもらうことですね。さっきも言いましたけど、僕の中では、あっという間=楽しいなんです。“あー、楽しかった。また次も来たい”と思ってもらえるライブにしたいと思って、いつもやってます。毎回、セットリストも変えているんですけど、“今日、何が起こるかわからない”“今日はどんなことが起きるんだろう?”って思ってもらえるライブっていうのは心がけていますね。
SHIMADA:変な話、明日、地球が滅んでも、今日のライブが良かったから、ええかって思えたら一番ですよね(笑)。
MiNE:かっけえな。
SHIMADA:ハハハハ。それぐらいの意気込みで毎回やらせてもらってます。
MiNE:それ大事やな。その日、喉がちぎれても、それってプロとしてどうなのかっていうのはありますけど、毎回そのくらいの気持ちでは歌ってますね。
さて、天才凡人は今後、どんなふうに活動していこうと考えていますか?
MiNE:おもしろいこととかふざけたこととかもやってますけど、一番は楽曲の良さなので。そこはどんなアーティストにも負けないくらいこだわってやっているので、もっともっとコンスタントに出していけたらなって思っています。みんなが聴きたいなと思ったとき、すぐに出せるような感じにはしていきたいですね。常に、いろいろな曲を作って、これも出したい、あれも出したいって曲が控えているんですよ。
SHIMADA:もちろん、これからも全国を回って、天才凡人を知らしめていきたいですしね。
では、最後に今現在の天才凡人の目標を聞かせてください。
MiNE:この間のツアーでも言ったんですけど、いつか日本武道館でワンマンやりたいです。武道館ができたら、それこそ最強の一般人になれるんじゃないかって。僕ら、社会人を経て、始めているんですよ。天才凡人を組んだのが29歳なんですけど、そんな僕らがそれを実現できたら、多くの人に夢を与えられるんじゃないかなと思ってます。
SHIMADA:それからドームツアーを回らせてもらえることになって、僕らのドキュメンタリー映画が作られて、それが大ヒットして、ワールドツアーもして。
MiNE:X JAPANや!(笑)
SHIMADA:プライベートジェットで世界を回る。
MiNE:だからX JAPANちゃうの?(笑)
Hyonn:いいな!
MiNE:いいなぁって、おまえも今、目標設定すな!(笑)
取材・文=山口智男、撮影=渡邊 茂
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