第77回
安室奈美恵は6月3日、東京ドームで瞬間冷凍され〈伝説〉となった!
2018/06/14
希有のスーパーアイドル、スーパースター、スーパーエンタティナーの彼女だけに超ド級の衝撃度だった。私のところにもテレビ、ラジオ、新聞、雑誌からたくさんのコメントの依頼があった。当時、私はこんなふうに答えている。
「ファッションリーダーでもあり、全盛期で結婚・出産するなど自分の生き方を通してライフスタイルまで提供したことで、それまでのアイドルというジャンルをアーティストまで引き上げた。ダンスもすごく、アスリートに近いものがあった。ナンバーワンでオンリーワンの存在。突然の引退発表にびっくりしたが山口百恵さんやBOOWYのように全盛期にやめることで、すばらしい記憶が瞬間冷凍され、伝説になると思う」(日刊スポーツ2017年9月21日付)
「東京ドームの52000人の観客が〈歴史の証人〉!」
安室奈美恵が瞬間冷凍され〈伝説〉になる日がとうとうやってきた。
2018年9月16日(彼女のデビュー日)に引退する安室は東京ドームでラストツアーの最終公演(6月2日、3日)を行なった。5大ドーム(17公演)とアジア3都市(6公演)をまわり、計80万人を動員した〈引退イベント〉は6月3日の東京ドームが千秋楽。この歴史的な記念日に立ち会い〈歴史の証人〉にならなければならない、と思ったのは私だけではないだろう。
「『Hero』から『How do you feel now ?』まで32曲全開パフォーマンス!」
聖火台をバックにしてリオデジャネイロ・オリンピックのテーマソング「Hero」で幕開け。1曲目からもう全開だった。歌とダンスと8変化の衣装で、それこそノンストップのエンタテインメント・ショーは息もつかせぬ圧倒的なパワー。安室の完成度の高いパフォーマンスが光っていた。
あっという間の2時間45分、そして歌手人生最後のツアーを飾るラストソングは「How do you feel now ?」。30曲目にあたるこの曲を歌い終えると、安室は16人のダンサーと抱き合い涙を流した。そしてマイクを握った。コンサートではMCをしないことで有名な安室がラストということで、52000人の聴衆は固唾を飲んで安室の言葉を待った。
「今日はどうもありがとうございました」
「9月16日以降、私がこうしてステージに立つことはありません。だからこそ、この25年間が私の中でとても大切な思い出になりました」
安室の言葉が一語づつ心に入ってきた。と同時にいろいろなシーンが蘇ってきた。しかし、それも今日で終わりだ。あとは瞬間冷凍されて、それぞれの心の中で〈伝説〉として残っていくのだ。25年間の感動ドラマはそれぞれの心の中で永遠に残ることだろう。9月16日までに“ミラクル”はあるのか楽しみである。
(文/富澤一誠)
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