第67回
〈ディナーショー〉の味くらべ?谷村新司、八神純子に軍配!
2018/01/11
だとしたら、どんな〈ディナーショー〉が求められているのだろうか?
「谷村新司、素敵な音楽と美味しい料理の見事なコラボレーション!」
今年、内容的に突出していたのは谷村新司と八神純子の〈ディナーショー〉ではないだろうか?
谷村新司の〈クリスマスディナーショー〉は毎年、帝国ホテルで行なわれることが定番となっているが、趣旨が明確なところがいい。
今回のテーマは〈DANDYISM~STANDARD〉でオリジナル曲、カバー曲を問わず谷村がスタンダード・ナンバーだと思う曲をセレクトして、ダンディーに歌うというもので、谷村が歌うとまさに良質の〈大人の歌〉になってしまうところが素晴らしい。
そしてさらにすごいのは、大人のラブソングに見事にマッチした帝国ホテルご自慢の料理である。これぞ素敵な音楽と美味しい料理の見事なコラボレーションで〈大人の音楽&お料理コラボライブ〉と言っていい。
谷村はこの〈ディナーショー〉に賭ける想いをこう語っている。
「谷村と帝国ホテルの新たなコラボレーション。ホテル伝統のクリスマスディナーメニューすべての料理にイメージタイトルを用意して夢を巡る少女と少年の物語を添えて……聖夜の心あたたまるプレゼントとして皆様に贈ります……」
〈メニュー〉は帝国ホテルの料理に谷村が考えた〈イメージタイトル〉が付けられている。だから料理もセットリストのようにイメージが広がっていくのである。
〈ココロの音〉(五線譜の上の海の幸の調べ)
この〈メニュー〉のように食べていくとこれでもうドラマができあがっていて、私たちはそれぞれがそれぞれの世界の中の主人公となっていて、そこに谷村のライブが始まると自分ならではの音楽の世界を堪能できるというわけだ。
〈料理〉から始まる〈音楽〉のエンターテインメント、これこそが本物の〈ディナーショー〉ではないだろうか。〈谷村新司クリスマスディナーショー DANDYISM~STANDARD~〉を体験して私はそう確信した。
「八神純子、オーケストラと歌と素敵な料理がコラボしたプレミアムナイト!」
12月18日(月)、東京パレスホテルで200人に限定した〈Songs for your Heart~八神純子クリスマスディナーショー〉に行ってきた。これまた八神のポリシーがしっかりと貫かれた趣旨が明確なイベントだった。
〈音楽〉はスケールが大きかった。奥村伸樹が指揮をし、大阪交響楽団の首席ソロコンサートマスターである森下幸路を加えた27人編成の〈オーケストラプレゼンター東京〉を従えて八神が歌うのだが、さすがオーケストラならではの迫力でプレミアムライブだった。
200人限定でオーケストラとはなんというぜいたくさ、ということになるが、〈料理〉の方もそれに負けないぜいたくさだった。いずれも八神が「これだ!」という料理をセレクトして、この日のために特別に作られた〈メニュー〉が用意されたのである。なぜオーケストラで、なぜこの料理なのか?だからこそ、プレミアムな〈ディナーショー〉ができあがったと言っていい。
ちなみに〈メニュー・セット・リスト〉は以下の通りである。
〈低塩新巻鮭のムース/愛媛のキャビアライム、イサダ入りのパスタのタプナード和え、安家地大根/田野畑の“ポーラー・スター”〉
八神が実際に試食をして「これだ!」という食材を使って特別に作った料理の数々。そしてこの日のためにセレクトした〈オーケストラプレゼンター東京〉。これ以上ないコラボレーションであった、ということは言うまでもないだろう。
谷村新司、八神純子、共に〈ディナーショー〉にこめた想いには熱いものがある。年末の特別な夜だからプレミアムな〈ディナーショー〉を通して、私たちは何を考えるだろうか?ふとそんなことを思ってしまう素敵な夜だった。
(文/富澤一誠)
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