第58回
〈堀内孝雄アコースティックライブ〉は“大人の音楽”と“お酒”がコラボする〈大人のエンタテインメント〉である!
2017/08/24
今回もいくつかのコンサート、ライブを見たが、私の考える〈大人のエンタテインメント〉にかなったのは堀内孝雄の〈アコースティックライブ2017〉だった。
このライブの趣旨はこうだ。
〈アリス活動停止以降、ソロ歌手としてのヒット曲「愛しき日々」「恋唄綴り」などをスーツを着て、ハンドマイクでお茶の間の番組などで熱唱するイメージが定着してる堀内だが、元々はアリスで数多くの名曲の作曲を手がけるメロディーメーカーとして、そして、ギタリストとしてもギターテクニックはかなりの腕前と評判であった。
「ブルーノート、ビルボード、COTTON CLUBは大人のライブハウス!」
〈堀内孝雄アコースティックライブ2017〉は、7月28日・名古屋ブルーノート、7月29日・ビルボードライブ大阪、8月19日・COTTON CLUB(東京)の3会場で行われたが、私はCOTTON CLUBで見た。COTTON CLUBは美味しい料理とお酒をいただきながらゆったりと歌を堪能できる〈大人のライブハウス〉と言っていい。言ってみれば〈大人の音楽&お酒コラボライブ〉である。
最近、大人のライブハウスであるブルーノート、ビルボードやCOTTON CLUBなどでのライブが評判を呼んでいるが、それは大人のマーケットからの需要だということだろう。
〈通常のコンサート〉もいいが、年に1度のぜいたくとして〈ディナーショー〉もいいということで年末の〈ディナーショー〉は今や定着をしている。これも大人が楽しめる〈大人のエンタテインメント〉ということだが、いかんせん〈ディナーショー〉は1人3万円から5万円とチケットの値段が張るのでなかなか手が届かない。だとしたら〈通常コンサート〉と〈ディナーショー〉の中間くらいのものはないのだろうか?というオファーは前からあった。
もちろん、この手のものは昔からあることはあった。ホテルの〈ラウンジショー〉で、こちらは軽いつまみとアルコールを飲みながらゆったりと歌を聴くというスタイルだが、イメージが歌謡曲と演歌ということでオシャレ感に欠けていた。
やはりJポップふうの〈大人の音楽〉はシャレていなければならない。そんなオシャレ感を出せる場所がなかったわけだが、そこにブルーノートやビルボード、COTTON CLUBができて、ようやく状況が整ったというわけだ。
「堀内孝雄が新しい地平を切り開いたようだ!」
さて堀内孝雄のCOTTON CLUBの〈アコースティックライブ〉だが、始めから堀内は自然体で会場全体がやわらかい空気に包まれていた。言ってみれば〈アットホーム〉というか、堀内の自宅に招かれてリビングで美味しい料理とお酒をいただきながら、堀内のおしゃべりや歌を聴かせてもらっているというような不思議な感覚だった。
ステージと客席が近いので堀内がひとりひとりに語りかけながら歌っている感じで親近感が湧く、こんなことは通常のコンサートではありえないことである。だからこそ、堀内の一言一言にお客さんが素早く反応して、それがまた堀内の気持ちをほぐすのか、会場が一体化して、やがて同化してしまうのだ。
「惜春会」「青春の日々」「聖橋の夕陽」「いつまでもLOVE SONG」「再愛」「Going Home」「愛染橋」「帰り道」「遠くで汽笛を聞きながら」「愛しき日々」など、どちらかというと定番のヒット曲ではなくて、堀内が今本当に歌いたい歌のラインナップだが、今回は逆にこのセットリストの方がピンとくるあたりが〈アコースティックライブ〉の醍醐味ということだろう。
アンコールは去年の日本作詩大賞受賞作品「空蝉の家」。堀内の語りと歌、そして客席との同化。これぞ堀内の新しい地平であり“大人の音楽”と“お酒”がコラボする〈大人のエンタテインメント〉ではないだろうか。ふとそんなことを考えさせられた〈堀内孝雄アコースティックライブ2017〉である。
(文/富澤一誠)
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