第46回
林部智史の“歌のマジック”が日本中を席捲することだろう!
2017/02/22
そんな中にあって、久しぶりに「おっ、これは?」と思わせる新鮮なコンサートを体験した。それは2月20日(月)、東京オペラシティコンサートホールで行なわれた〈デビュー1周年アニバーサリーコンサート 林部智史~あいたい~〉だった。
「〈THE カラオケ☆バトル〉史上初の100点満点!」
林部智史は去年デビューした新人の中では群を抜いて実力派と言っていい。デビューのきっかけはガチンコで人気を呼んでいるテレビ東京系の〈THE カラオケ☆バトル〉に出演して、2015年に番組史上初となる予選・決勝共に連続100点満点を記録し、2015年年間チャンピオンになったことだ。史上初の100点満点は衝撃的だったが、これで名をあげたことは間違いがない。
〈THE カラオケ☆バトル〉を見ていて思うことは、歌の上手い人はたくさんいるが歌に独自の味わいを持っている人はなかなかいないということだ。そこが難しいところで、歌が上手いからと言って売れるわけではないし、そうかと言って下手では話にならない。だとしたら、たくさんの人々の心をとらえる歌とは何か?ということだが、私はこう考えている。これは私の持論だが……。
「いい曲、イコール、いい歌ではない!」
いい曲、イコール、いい歌ではない。いい曲はそれにふさわしい歌い手に歌われてこそ初めていい歌となり、たくさんの人々の心をつかむのだ。同じように上手い歌い手と味のある歌い手は違う。上手い歌い手は圧倒的な歌唱力で聴き手を驚かすことはあるが心をつかむことはできない。一方、味のある歌い手はハデさはないが聴き手のハートを一瞬に奪ってしまう説得力がある。
上手い歌い手と味のある歌い手、ポイントはここである。カラオケバトルは器械が採点するために上手い歌い手が高得点を取る傾向がある。つまり味のある歌を歌おうとすると逆に得点が下がる。だから感情を抑えて器械に忠実に合わせなければならない。
しかしながら、これでは聴き手のハートをつかむことはできない。いい歌を歌おうとして感情を入れると器械が高評価をしてくれない。上手い歌と味のあるいい歌は二律背反なのである。上手い歌と味のある歌が融合したときに初めて“いい歌”となってたくさんの人たちが感動してくれるのだ。この〈二律背反〉を克服できるかどうかに全てはかかっている。
〈THE カラオケ☆バトル〉のたくさんの優秀戦士の中でいち早く〈二律背反〉の奥義を極めたのが林部智史なのだ。だからこそ、彼のデビュー・シングル「あいたい」がじわじわとリスナーのハートを侵食してロングセラーとなったのである。
「歌力とはリスナーのハートへの侵食度!」
歌にとって大切なことは、リスナーのハートをどうつかむかということ。これぞ歌力だが、歌力とはリスナーのハートへの侵食度以外の何物でもない。このハートへの浸食度が彼は群を抜いている。
コンサートでは「あいたい」などのオリジナル曲と「糸/中島みゆき」「白い一日/井上陽水」「シルエット・ロマンス/大橋純子」「言葉にできない/小田和正」などのカバー曲を混ぜながら歌っているが、オリジナルもカバーも彼にかかれば、全て〈林部智史色〉に染まってしまうということだ。こんなシンガーはいない。林部智史の〈歌のマジック〉にかかったたくさんの人たちがいたからこそ、オペラシティコンサートホールに1500人もの人たちがかけつけたのだ。しかも、追加公演を含めて3日間が満員である。
客席の熱気は私も肌で感じて、間違いなくこれは本物だと感じた。ぜひ林部智史の歌を生で体感して欲しいものである。
新曲「晴れた日に、空を見上げて」はテレビ朝日系木曜ドラマ〈就活家族〉の主題歌に起用された。林部智史の〈歌のマジック〉が日本中に湧き起こることだろう。
(文/富澤一誠)
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