第36回
ステージと客席の一体感が魅力の〈フォーエバーヤング ミュージック&トーク・ライブスペシャル〉
2016/09/21
今回で4回目を迎える〈フォーエバーヤング ミュージック&トーク・ライブ〉は、もともとは〈フォーエバーヤング〉から生まれたスピンオフ企画だ。〈フォーエバーヤング〉は私がプロデュースする歌とトーク満載のフォーク・コンサートで、基本的に毎回3組のアーティストたちが出演して、それぞれの持ち歌の他に、その場ならではのジョイント形式でコラボレーションするということをポイントに行なっており、今年11回目(出演は堀内孝雄、大野真澄、大橋純子。6月19日)が終了した。
〈ミュージック&トーク・ライブ〉は〈フォーエバーヤング〉を毎年続けるなかで、来場者からの「アーティストの歌と話をもっとたっぷりと聴きたい」という要望を受けて、2013年からスタートした新シリーズ。出演アーティストを1組にしぼり、そのアーティストの魅力をたっぷりと紹介するために、私がアーティストと対談をしながら肉薄していく〈トーク・コーナー〉と、それを受けてのアーティストの〈ライブ〉の2本立てという構成になっている。
第1回目のゲストはEPO、第2回目は原田真二。はじめての企画ということで不安はあったが、思った以上の反響で手応えを感じた。おかげさまで評判は良く、回を重ねるにつれ、遂に第3回目(八神純子。2015年10月3日)にして295席の小ホールは満席札止めとなりスピンオフ企画が一人立ちしたのだ。
そして今回、〈ミュージック&トーク・ライブ〉はメセナホール開館25年記念事業の〈スペシャルライブ〉として、9月18日に行われた。スペシャルとして会場も大ホールに格上げされたが、おかげさまで満席(1124席)の大盛況だった。
今回はスペシャルライブということで、〈フォーエバーヤング〉と〈ミュージック&トーク・ライブ〉をコラボレーションさせようと思った。そう考えて出演者を選択。〈第1部〉はこれまでに〈ミュージック&トーク・ライブ〉に出演してくれたEPO、原田真二、八神純子に登場を願って、〈トーク・コーナー〉と〈ライブ〉を再現してもらった。
〈トーク・コーナー〉は長くならないよう、3人一緒に出てもらい、シングル&アルバムのジャケット写真を通して各アーティストの音楽人生をたどっていく。ここではデビュー時の若い頃の写真が大人気だった。さらに、私の資料館に保管されていたお宝写真資料などを紹介すると、会場からは「えー?」とか「何?」といった感嘆の声があがった。
ステージと客席という“壁”が〈トーク・コーナー〉で話題を共有することによって取り除かれ、一体感が生まれることが〈ミュージック&トーク・ライブ〉の特徴と言っていい。
15分の休憩の後、〈第2部〉は尾崎亜美と渡辺真知子との〈トーク・コーナー〉から始まった。なぜ〈トーク・コーナー〉から始めたかというと、このお2人は〈フォーエバーヤング〉には出ていただいているが、〈ミュージック&トーク・ライブ〉には初めての出演ということで、まずはこの企画の雰囲気に馴染んでいただきたいということもあり、1部と同様にジャケット写真とお宝資料で振り返る音楽人生からスタートしたというわけだ。これまた、「へぇー」とか「おっ?」とかといった声があがり、またまた一体感が生まれた。
そしてここではもうひとつとっておきのお宝写真を用意した。長髪にレイバンのサングラスをかけた吉田拓郎か浜田省吾とおぼしき若者の写真。「誰?」と一瞬の静寂の後、「ああ!」というどよめき。何のことはない、私の24歳の頃の写真で、さらに場がなごみ、より一層の一体感が生まれた。
そんな一体感が生まれたうえでの各アーティストの〈ライブ〉はもはや言うまでもないくらいノリノリで、雰囲気も最高だった。そして、その雰囲気のまま〈アンコール〉へとなだれ込んでいった。
永六輔さんを追悼しての「見上げてごらん夜の星を」からザ・ピーナッツを偲んでの「恋のフーガ」は圧巻だった。5人のアーティストのコーラスによる「恋のフーガ」はカッコ良すぎたと言っても過言ではない。そしてラストは定番の「翼をください」。会場は巨大なカラオケボックスと化して、全員がそれぞれの“想い”を胸に秘めて歌っていた。
私もステージ上で歌いながら、そんな客席を見ていると、このコンサートをやって良かった、と思った。そして「来年もぜひやろう」と強く決意していた。みなさんも一度、長野県須坂市のメセナホールに見に来て下さい。
(文/富澤一誠)
2018/06/28
2018/06/14
2018/05/24
2018/05/10
2018/04/26